人件費を削減しながら、生産効率を上げることができれば、企業の競争力を高め、生き残りや持続的な成長が期待できます。
経費を削減して生産効率を上げる、人件費を削減する方法と進め方について見ていきましょう。
人件費の削減が経費節減に役立つ理由
企業において人件費は経営に必要な経費の大きな割合を占めます。
より少ない人数で、これまでと同等以上の成果を出していければ、企業にとっては競争力を伸ばし、持続的な成長を遂げていくことにつながります。
人材を必要最小限に抑えることで、給料やボーナス・残業代の支払いが抑えられるのはもとより、企業にとって大きな負担となる社会保険料の支払いを削減できるのがメリットです。
少子高齢化により、必要な人材の確保が難しくなっている時代にあって、最小限の人数で業務が運営できるようになれば、広告宣伝費やテスト費用などの採用コストも減らせます。
人件費を削減する方法
人件費を削減しつつ、生産効率を上げる方法を見ていきましょう。
IT化
パソコンやアプリケーションソフト、専用のシステムなどの導入や見直しにより、人が行う業務の効率化やスピードアップが図れます。
たとえば、これまで3人で行っていた業務が2人で済む、給料が安い若手の人材や社会保険料の負担がない派遣社員でも業務がこなせるようになります。
ベテラン人材を人の能力が必要な仕事に集中させて、生産効率アップや競争力アップにつなげることも可能です。
DX化
DX化はIT化のようにビジネスツールを効率化させるのとは異なり、デジタル化によってビジネスモデルそのものを変化させることです。
たとえば、これまでは各地に営業所を置き、人海戦術で営業を行い契約を取っていたのをサイトやSNSを活用し、オンライン商談やオンライン契約などオンラインで完結する仕組みに切り替えます。
これまでは入れ替わりの激しい営業職員を随時募集することや新人育成にコストをかけていたのが、少数精鋭の有能な営業職員のみで全国の顧客をターゲットにオンライン商談とオンライン契約でWeb完結できるようになります。
RPA化
RPA化はAIなどロボットによる業務の自動化を図ることです。
IT化の一種ではありますが、IT化より、より業務の効率アップが図れます。
IT化はシステムを利用することで、人間が行う仕事をスピードアップすることやより少ない人数で仕事が回せるようになる、人間の業務のサポート手段です。
入力したり、確認したり、スタッフがシステムを使いこなせなくてはなりません。
一方、RPAは人が行う定型的な業務を自動で処理してくれるシステムです。
業務の手順をあらかじめ登録しておくと、その通り実行していきます。
AIは学習能力があるため、実行回数が増えるほどパターンなどを学んでいき、応用的な業務もこなせるようになるのも強みです。
重要な判断を必要とする業務には適しませんが、必要事項を入力していくだけ、項目をチェックしていくだけのような単調な作業やよくある質問に回答するだけのパターン化した業務を自動化できます。
これまでルーティン業務を担っていた人材が不要となり、重要な判断や細かな作業が必要な業務に人材を集中させて生産性のアップが図れます。
アウトソーシング化
単純な業務や逆に専門性の高い業務などを外部業者に委託することや必要に応じて派遣社員などを雇って行わせ、正社員の数を減らすなどして人件費を削減する方法です。
アウトソーシングコストは増えますが、社会保険料の負担が削減できます。
正社員の場合、一度雇用すると簡単に解雇できませんが、アウトソーシングは必要な時に必要な期間だけ依頼することもでき、無駄なコストの発生を防止できます。
人件費を削減する方法の進め方
人件費を削減する方法はいずれにしても導入コストやランニングコストが発生します。
うまくいけば、人件費の削減につながり、導入や運用コストを上回る経費の削減効果が望めます。
一方、失敗すれば、経費がかかっただけで回収できないおそれがあるため、選択を間違えないよう、進め方が大切です。
業務の明確化
人の能力を集中投下すべきコアな業務と、システムによるスピードアップやアウトソーシングによる効率化ができる業務を明確化しましょう。
最適な方法を検討
さまざまある人件費を削減できる方法のうち、どれが適しているかを検討します。
検討のうえ見積もりを取り、比較検討を行いましょう。
導入コストやランニングコストだけでなく、人件費をどれだけ削減できるのか、どのくらい収益アップできるかなどのシミュレーションも欠かせません。
導入と運用
選んだ方法について契約を行うとともに、導入に向けたマニュアルの整備や研修の準備、社内業務フローの見直しを行います。
試験的な期間を経て、運用を軌道に乗せます。
まとめ
経費を削減しながら生産効率を上げる人件費を削減する方法として、IT化やDX化、RPA化やアウトソーシングなどが考えられます。
いずれも導入コストやランニングコストが発生するため、導入によって人件費の削減につながり、投資コストを早期に回収できるよう、適切な進め方を踏んでいかなくてはなりません。